小型犬では加齢とともに心臓病になる傾向があります。心臓病は検査を定期的に行い、その状態にあったお薬を飲むことが大事です。当院では獣医学博士日本獣医循環器学会の認定獣医師が在籍し、心臓病の精密な検査を行っております。
動物の寿命が伸び、ワンちゃんネコちゃんにも心臓の病気が増えて来ています。ワンちゃんが亡くなる要因として、心臓病は、ガンや腎臓病と共に「3大死因」の1つになっています。
当院ではご家族と動物達が一緒に少しでも長く元気で楽しい時間を過ごせるように循環器の診療にも力を入れております。現状では外科的な治療が難しく、心臓自体は一度悪くなってしまうと完全に治すことは難しいため定期的な検査とお薬による治療が必要になってきます。
心臓の機能と役割
心臓は生命の維持に必要な血液を全身に送り出すポンプの役目であり、最も重要な臓器です。
犬と猫の心臓は4つの部屋に分かれ、それぞれ左心房、左心室、右心房、右心室に分かれます。肺から酸素を得た血液が左心房に流れ、その後左心室→大動脈→全身→各臓器→静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺に行き、酸素交換を行います。
この一連の流れを絶えず繰り返しています。
このような症状が見られたら心臓病の可能性が高いです。
- 『コホッ、コホッ』や『コン、コン』などの咳をする。
また喉に物が詰まったような仕草をする。 - 散歩中に突然立ち止り、歩きたがらない。また、運動を嫌がる。
- 呼吸が早く、苦しそう。また、下が紫色になる。
- 運動した後や興奮した後に倒れる。
- 体がむくんでいたり、お腹が膨れている。
心臓病と言っても、原因は様々あります。
例えば僧帽弁閉鎖不全・三尖弁閉鎖不全・動脈管開存症・心房中隔欠損・心室中隔欠損・肺動脈狭窄症・大動脈狭窄症・フィラリア症・肥大型心筋症・拡張型心筋症など様々な病気です。
また、治療法が病気により異なるためどのような心臓病なのかを確定診断することはとても重要な事なのです。ただ雑音があるから、心臓薬を飲ませましょうと言うことではなく、レントゲン検査、心電図検査および、超音波検査を用いて、心疾患の状態をしっかり確実に診断して把握することが必要です(このような検査はどこの動物病院でも行っている訳ではありません)
病気によっては心臓薬を飲ませて悪化するケースも少なくありません、そして早期手術が必要な病気も存在します。
また、雑音が聞こえない心臓病が存在したり、心臓病以外にも症状の出にくい病気もあるため定期的な健康診断もしっかりと行う必要があると言うことです。
心臓病の予防
心臓病と診断されてから行う大切な予防法があります。
激しい運動は避ける
無理やり走らせたり、興奮させるような行動は抑えること。心拍数が激しく上がる事は、心臓に大きな負担をかける事になります。
肥満防止
脂肪が増えると言うことは、毛細血管が増え、心臓の運動量をあげなくてはなりません。
温度・湿度の
変化のない環境
温度や湿度を急激に変化させると、血管の収縮や拡張が起こります。その都度、血圧が変化し心臓に負担をかける事になります。
食事管理について
心臓病の動物には、食事中のナトリウム(塩分)の制限が必要です。と言うことは、人間の食べ物は危険と言うことになります(全てではありません)。塩分を摂取すると、飲水量が増え、体に水分が蓄積され、心臓の負担になることや浮腫みや腹水なども溜まってしまいます。
その他、ビタミンB群を多く含むフードを与える事は大切です。これは薬などにより尿中に多く排泄されることを防ぐのと、栄養補給になるからです。
また、タウリンやカルニチンは正常な心筋の機能を維持してくれることに役立ちます。
現在ではこのような事を考慮した心臓病の子の療法食もありますので、お気軽にお訪ねください。
心臓病を発症しやすい犬種
-
キャバリア
-
シーズー
-
マルチーズ
-
ポメラニアン